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「隠れ谷」
8月8日 「隠し谷」 人が歴史という世界に想像の羽をつけて飛び出すには、必ず、それ以前に大きなショックがあると言っていい。  奈良の山は、峰々が細かい。 大和富士で知られた額井岳から南を望むと、十重二十重に細かい稜線を連ねた吉野が遠望できる。 自然、隠し国でもあり、小さくは隠れ里で溢れていた。谷に流れる水はますます細く、集落の単位は、事のほか小さい。 その奈良県の東のはずれ、宇陀郡の山岳地帯に「荷坂」という地名がある。 人が去れば、必定、その地名は歴史の土に埋もれていく。裏を返せば、地名の残る所には必ず人の営みがある。 ここは村落である。
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