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「隠れ谷」
また、入村する道路は一本で、その口には、 番小屋のように材木屋がある。 変の報せなら、林道荷坂線で大きく迂回 する敵に先んじて、樵道から村へ報せに 行けただろう。  そのすぐ下手にはキリシタン小名の沢氏の城 (といっても陣屋だろうが)があり、その前を通ら なければ荷坂へは入れない。まるで沢城自体が 門番をしている格好になっている。
 この沢氏には流浪の歴史がある。  かつて京都を席巻した松永弾正 久秀が宇陀を攻略した折、沢氏も 他氏と同様、駆逐された。 その落ちた先が伊賀なのである。 彼ら沢氏は伊賀に匿われ、伊賀衆 の助けを借りて数年の後、故地を 回復した。 彼らには年来の恩義がある。
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