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歴史の異様さ
私は今年の四月、 にわかに思い立って、室生古道を 歩く事にした。  この道は、室生寺の東方・宇陀郡の 高井集落より出て、唐戸峠を股に かける旧街道で、今の我々の感覚 では支線にもならない程度の頼りな いものだが、旧くは幹線道路だった らしく、山林を穿ったような 蒼古とした古道が残る。
その入り口に、仏隆寺という古刹があった。
女人高野室生寺の末寺だというから 相応に有名らしい。 850年、嘉祥三年に空海の弟子・堅恵に よって創建され、最盛期には伽藍や塔頭、 僧房などが林立して隆盛を極めたとある。